
保育園で働く看護師、病院と保育園の違いとは?

看護師として、保育園の立ち上げ期を支えてきた原先生に「保育園で働く看護師の仕事」について聞いた。
この記事に登場する人

14年間、病院で看護師として従事した後、家庭との両立のためにエデュリーの新設園に看護師として転職。
新生児の集中治療室での仕事から
「もともと看護師として小児科で働きたいと思っていたんですけど、小児科は人気で、最初はNICUという新生児の集中治療室に配属されました。NICUは小児科と比べ、お子さんの入院期間が長く、ご家族との関わりを深く持てるので、保護者と一緒に、子どもたちを退院まで見守ります。退院する瞬間は感動もひとしおです。ご家族と退院の準備をしたりとか、ご家族やご兄弟と一緒に赤ちゃんとの時間を過ごしたりとか、そういうところにやりがいを感じて仕事をしていました」
14年ほど病院で働いた後、保育園という新しい環境に挑戦することにした。
「月に6回ほど夜勤に入っていたので、子どもを産んでからは私の両親の助けも借りながら仕事をしていました。夜勤の間も保育園の先生には自分の子どもを本当によく見ていただいて、感謝しかありませんでした。そこから、もっと家庭とのバランスを取りたいと思うようになったこと、保育園に預けながら働いてきた母親として今度はそういうお母さんたちの助けになりたいということで、保育園に挑戦しようと思いました」
子どものいる環境という点では病院も保育園も共通していたが、やはり仕事の中身は大きく異なった。原先生は保育園で働き始めた当時の様子について話をしてくれた。
保育園という環境変化への最初の戸惑い

「4月の慣らし保育からだったので、始めはこんなに慣らし保育は大変なんだということに驚きました。親として自分の子どもを預けていた時は、泣きながら保育園に行っても、迎えの時には、先生もすごくにこやかに『頑張りましたよ』と教えてくださいました。でも、実際に自分が慣らし保育を経験してみると、子どもたちはすごく泣いていて、先生も頑張ってくれていたんだろうなっていうのを感じた瞬間です」
「病院では新生児を見ていたので、新生児の寝かしつけはできても、意思が出てくる乳児の子どもたちは、どうやって寝かしつけたらいいのかわかりませんでした。当時は他の先生に代わってもらいながら、見様見真似で寝かしつけをしました。
あとは体力面で、病院は椅子に座って作業をしていたのですが、保育園では膝とか腰を使って立ち上がったり、持ち上げる作業が多くて、始めは体がバキバキだったのをよく覚えてます」
原先生にとって実際に家庭と仕事のバランスをとりやすい環境だと言う。
「一緒に働いている先生方が、子育てにすごい理解を持っていただいているので、園長先生だけじゃなくて、他の先生の皆さんの助けをすごく感じます。とても働きやすい場所です」
病院経験が活きたこと

病院で培った専門知識を持ちながらも、それをどう活かすかについては保育園の特性を理解する必要があった。
「保育園は何かを舐めたり、触ったりする機会が多いので、病院のような環境では起きようがないことがたくさん起きる。初めは、これでいいのかなみたいな不安な気持ちがたくさんありました。看護師会の時に他の看護師の方が『病院と保育園は違う』ということをおっしゃられていて、その時に私だけじゃないんだなとほっとした記憶があります。自分の職場に他の看護師がいるわけではないので、そういう不安や情報を共有できる場所があって安心しました」
「(仕事内容は)基本的に保育業務がほとんどです。その中で、看護師としての業務は感染症や疾患の子の対応やシラミの子がいる時は、帽子をお持ち帰りしてもらったりなどの対策をしています。今は中心になって、感染症の注意喚起やお掃除の方法を提案もさせていただいてます。こういう風にしたいなとアイディアがあれば、まずは園長先生に相談して、その後、クラスの先生に相談しながら、よりよい提案をもらい、決まったことを園長先生に最終確認して、展開しています。例えば、おむつ交換では、年齢や成長発達によってどこまで消毒するか、どの頻度で消毒するかも異なるので、担任の先生と相談しながら進めます」
「病院の経験で活きていることは、体調不良の子どもの症状の確認や情報収集の取り方は活きている部分です。一方で、保育園では医療措置は全く使っていないので、そこは病院の経験がいきにくい部分かなと思います」
病院と保育園で”子どもに携わる仕事”をしてきた原先生。不満や戸惑いがありながらも、新しい環境への挑戦を「良かった」と語る。
保育園で働くことをオススメするなら

「子どもを好きであることはもちろんですが、病院と比べ、保育園は保護者との関わりが長いことが特徴です。お子さんの特性や性格を踏まえながら、保護者の方とコミュニケーションをとる。そういう長い関わりを楽しめる人に合う環境なのかもしれません。
保育園という職場は、子どもの成長を長い時間見守れるので、自分自身をすごく前向きな気持ちにさせてくれます。ちょっと歩くのが上手になったなとか些細なことでも、子どもの成長していく姿を見ていると、家に帰っても前向きな自分でいられたりすることに幸せややりがいを感じます」
「正直、面接を受けた時は自分が医療現場から離れることや(保育園では)看護師一人という環境にすごい不安があったり、保育士さんって怖いのかなとも思っていましたが、実際はそんなことなく、とても優しく助けてもらえる環境で、本当に転職して良かったなと思います。
今後は、看護師としての役割を園で率先しながら進めていけるようになりたいなと思っています。今年は救命講習をやるので、他の先生たちの知識の底上げに繋がるようにサポートしたいです」
